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「……おいこら」
「あれっ?」
人差し指を亜希ちゃんのおでこに押し当て、近づけた顔を離す。
不思議な顔で額を押さえてる亜希ちゃんは言った。
「おにいちゃんまだ素直になってくれないの?小さい頃は私のことよく可愛がってくれて、いつも好きだって言ってくれてたのに」
「……ああ、そうだったな。そして俺が中二、亜希ちゃんが中一のときに本気で告白した。……そのときの俺はフラれたんだよな」
俺は亜希ちゃんに失恋したことがある。
今は俺に親しくなってる亜希ちゃんも、あの頃は照れ屋で嫌がってる風な気もした。
でも告白後、自然と俺から距離を置くようになったとき、亜希ちゃんの方から寂しがって近くにいるようになった。
俺の方は辛いのに、それもしだいに緩和された。きっと『おにいちゃん』と呼び合う仲になって、俺は兄妹のように接するしかないと納得することにしたからだ。
そして高校生になって変化したのは、亜希ちゃんの方から俺へ好意を向けまくってきていることだ。
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