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次の日、学校に行くと、クラスは海賊船の話題で持ちきり……ということはなかった。
下校時間に空に浮かんでいたのに、誰もあの海賊船を見てなくて、見たのはあたしと真里菜だけだった。
「ねえ、昨日、空に浮かんでた海賊船のことだけど……」
「はあ、何言ってんの、あんたばか?」
友達に話をしても、馬鹿にされるだけで、全然相手にしてくれない。
真里菜は馬鹿にされるのが分かっているので、海賊船のことを口に出したりしない。
そうこうしているうちに始業のチャイムが鳴った。
1時間目の授業は、一条路翼(いちじょうじつばさ)センセイの国語の授業だ。
一条路センセイは名前から、想像される姿とは全然違ってて、一言でいうと只のじいさんだ。
しかも、生きているのか死んでいるのか分からないくらい反応に乏しい。
この間も、悪戯者の男子が後ろから消しゴムをぶつけたが、センセイは微動だにせずに板書を続けていた。
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