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「先生、娘はどうにか助からないんですか!?」
父親が、そばにいる医師に向かって叫ぶ。
しかし、医師は静かに首を横に振った。
「残念ながら…もう…。」
「そ、そんな……。
う、うわああああぁぁああああぁぁ!!」
部屋の中に、泣き叫ぶ声が響く。
これはいったい、何が起こっているの…?
だって、今日の朝まであの子は元気にぼくとお話しをしていたんだよ?
「今日は学校でクリスマスのイベントが開かれるんだって。楽しみだね。」
って。とても楽しみにしてたんだよ?
それが…どうしてこんなことになるの…?ねえ、嘘だといってよ…。
そのときだった。
彼女の瞳がうっすらと開いた。
そして彼女は、消えるような声でつぶやいた。
「お…かー…さん…おとー…さん……?」
その言葉を、そこにいた一同は聞き逃さなかった。
「優夢……!?」
母親の声を聞いて安心したのか、彼女はわずかに、荒い呼吸を吐きながらこう言った。
「ごめんね……おかーさん…おとーさん…。
私…悪い子だから…ばちが当たったのかな……。」
彼女はもう、分かっていたのかもしれない。
命の灯火が消えかけていることを。
そして彼女は、横にいたぼくにも声をかけた。
「りゅうたろう…ごめんね……。
りゅうたろうともっと、遊びたかったよ……。」
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