13人が本棚に入れています
本棚に追加
「愛、明日彼氏が来るからうるさくしたらごめんね」
姉のそのお知らせはまるで遠回しに「私には彼氏がいるから」と私に自慢しているようで、"ごめんね"という言葉も「私には彼氏がいるからごめんね」という意味にしか聞こえなくて、イラっとする。
「明日授業あるから大丈夫。夜は静かにして」
姉が彼氏を家に上げるときは予備校を理由に出かけることにしている。
もちろん姉の彼氏が来るときに限って毎回授業があるわけじゃない。
それでもわざわざバスに乗って人がわんさかいる予備校の自習室を借りに行く。
姉が彼氏といちゃついているその壁一枚隣で勉強なんてできるわけない。
姉が現役で合格した大学に私は受からなかったことを考えれば余計に惨めになって、イラついて集中できない。
舌打ちをしてベッドに転がり込み、スマートホンでツイッターを開いた。
今は大学に進学した高校の同級生の会話がまた楽しそうで、浪人生の私はため息をつく。
どいつもこいつも、楽しみやがって。
リア充爆発しろよ。ちくしょう。
心の中で叫んで、胸の奥がキリッと痛んだ。
ツイッター、ミクシィ、フェイスブック、どれを開いても大学に進学した友達は充実した生活を送っているらしく、他愛もない日記やコメント、友達や彼氏と撮った写真をアップしてリア充っぷりを大いに見せつけている。
見ているこっちは面白くもなんともない。
なんともないのに、友達がアップした日記や写真は私のトップページに最新アラートととして必ず表示され、薄っぺらい友情のためにコメントを残さなきゃいけない。
私だって、こんな風に遊びに出かけて、写真撮って日記に書きたい、デートなうとかコメントしたいのに、できない。
浪人生だから?
違う。
私がリア充じゃないから。
最初のコメントを投稿しよう!