2/3
前へ
/3ページ
次へ
「うん……うん。じゃあうちでゲームでもしようよ!……いいよ」 姉が部屋のドアを開けっ放しにしているせいで私はこうして聞きたくもない姉とその彼氏との会話を聞かされる。 姉のその甘ったるい可愛らしい声を聞いても不思議と苛立たないことに苛立つ。 2つ上の私の姉は私なんかの比にならないくらいモテる。 言い寄ってくる男はどいつもこいつもイケメン。 そのイケメンの中から一番のお気に入りと付き合う。 今は高校の時の同級生と付き合っていて、その男がまた最高級。 昔はコロコロと男が変わっていた姉はその男と4年近く付き合っている。 そして最近、姉はその男を家に呼ぶようになった。 電話だけでもうざいのに、家の中で私が隣の部屋にいてもお構いなくイチャイチャデレデレしているというのが堪らなくうざい。 部屋を出たときにたまたま顔を合わせようものなら苛立ちを抑えながら笑顔で挨拶して、可愛らしい妹を演じなければいけない。 そうしてストレスが溜まって溜まって、でもやり場もなくてまたストレス。 なぜ私の姉はこんなにもモテるのに、私はそう上手くいかないんだろう。 思えば私は常に、何事においても姉の劣化版でしかない。 顔、スタイル、頭のよさ、運動神経、ピアノ、胸だってギリギリCカップの姉よりさらに劣るBカップ。 姉にはたくさんの友達がいて男性経験も豊富なのに、私はよく遊ぶ友達なんて2人しかいないし付き合っていた男も2人だけで、いつもかっこいい男とよろしくやってる姉に見せれるほどのものじゃない。 まだ幼いころは私にとって自慢のお姉ちゃんだったのに、今はその存在がとてつもなく憎らしい。 その黒い感情も行き場がなくて、心の中で渦巻くだけ。
/3ページ

最初のコメントを投稿しよう!

13人が本棚に入れています
本棚に追加