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「目覚めよ…」
そんな声が聞こえたのは、俺が眠ってから間もないことだった。
「目覚めよ…」
二度目の同じセリフ。
だが俺は起きない。
俺は朝が大の苦手である。低血圧だから。
だから俺は寝起きの時はすこぶる機嫌が悪い。
誰かれ構わず喧嘩を売ってしまうようなほどの機嫌の悪さなのである。
「目覚めよ…」
うっせぇな。聞こえてんだよ。でも俺はねみぃんだよ。だからもう起こすなよ。フリじゃねぇぞ。
俺は心の中で文句を垂れた。次に同じように起こされたら確実に文句言ってやろう。
「………」
だが、声は聞こえて来ない。
不思議なもので、今まで聞こえてきたものが聞こえて来なくなると途端に不安になる。
そう、これはまさに(押してダメなら引いてみろ)である。恋愛における高等(?)テクニックだ。
そして俺は、少しばかり目を開ける。
だが、周りは真っ暗でほとんど何も見えない。
その瞬間、
ちゅどーん!!
こんな可愛い擬音では表せれないが、とにかく、俺の頭上で何かが爆発した。
「うおぉぉぉぉぉぉぉい!?」
俺は一気に覚醒し、その場から爆発とは逆方向に飛びのいた。
そして、飛び退いた先に、何かの気配を感じた。
そしてゆっくり振り向く。
そこには、おっさんがいた。
髪も髭も目の色も全てが銀色。まるでギリシャ神話にでも出てきそうな純白の布切れ一枚で全身を覆い隠している。
そして何より印象的なのが、
手に持っている爆弾だった。
それもよくマンガとかに出てくるあのフォルム。
ボ◯バーマンが投げて来そうのあの爆弾である。
「目覚めよ…」
そういいながら投擲フォームに入るおっさん。
いやいやまてまて。俺とおっさんの距離はおよそ1m。そこでその爆弾を投げるとする。
俺、確実にボンバーするな。
と言う訳でおっさんの説得を試みてみる。
「まてまてっ!この距離でそれを投げるとおっさんも爆発に巻き込まれるぞ!!」
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