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「うん。
11月には決まってたんだけど、大輔勉強してんのに1人浮かれてんのもどうかと思って言えなかった。」
私達の仲で隠し事をしていたのが申し訳ない気がして、とっさにそう言うと大輔はニカッと笑って
「一緒に喜ぶに決まってるじゃんか!そのために色んなもん犠牲にしてピアノ弾いてきたんだろ?」
"喜ぶ"
その言葉は嬉しいはずなのに何故か心は痛む。
大輔と私は家が隣同士で幼稚園からずっと一緒だから、きっと親よりも長い時間一緒に過ごしてきた。
ベタだなぁとは思うけど、小さい頃「大きくなったら結婚しようね。それで、ずっと一緒に居よう。」と指切りげんまんしたのはちゃんと覚えてる。
きっと大輔はそんな約束覚えてなくて、"一緒に居よう"の約束も私が破ってしまう。
私は大学から通学のために遠い都会で一人暮らしを始める。
この場所から、大輔の側から離れることになる。
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