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この時期、3年生は午前中で授業が終わる。
推薦で大学が決まっている親友の絵里と私は呑気にご飯でも食べようとファミレスに入った。
二人で卒業旅行の話をしていると、知らない番号から電話が来た。
「佐藤花音さんですね?お母様から電話番号きいて、掛けさせて頂きました。西京音大学長の田中です。申し訳ないのですが…」
その言葉を聞いて、推薦取消ではないかと一瞬血の気が引いた。
「3月1日にある学内コンサートに出ていただけませんか?
高校生枠が一つあって、大学内では全員一致であなたを推薦しています。
ただ出ていただけるのであれば、2月頭からこちらへ来ていただくことになってしまいますが…。」
とりあえず推薦取消ではないことに安堵すると、今度は別の緊張が私を襲ってきた。
「高校の予定大変ですかね?
一応コンサートさえ終われば、一度実家に戻っていただいても大丈夫ですよ。」
2月は3年生は登校日が1日あるだけで他は休みだから…
「高校の予定は大変じゃありませんが…
3月1日は…」
卒業式だ。
それに、早く行くことは早く大輔と別れることを意味する。
ひとまずこの日は返事は保留にさせてもらった。
学長は快く承諾してくれた。
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