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「俺には同じに聞こえるよ」
耳たぶを軽くかじられて
そこが一気に熱くなる。
「俺のことそんなに好き?」
「…知らねぇよ、ばか」
そんなことどうでもいい。
どさくさでキスもされたし
舌も入れられたし
今は手だって握られてる。
「いいよ、俺は」
「は?何が?」
「あなたがそんなに好きなら」
「どーゆう」
「解放されなくてもいいよ」
ふわり、と君が笑う。
君の心が覚悟を決めていたのは
「あなたが俺を愛さなくなって」
握った手にもう片方が重ねられる。
「解放されたいとかそういう、」
「ひろくん」
「そういう葛藤も失ったらさ…」
キュッと手が強く握られた。
「もう俺の愛した君じゃないから」
いつか、その日が来たら
それが自然に離せる時なんだよ。
そう言って力を弛めた君の手を
僕は無意識に握り返した。
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