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年末の大仕事も終わって
メンバー全員で初詣に行って
俺は愛しの君とお正月…とならず
長野に来ていた。
「眩しい…」
銀世界来ちまったぜー。
「スガー」
「おお、上級上がる時間だな」
年明けに学友と一緒に来たゲレンデ。
みんな忙しくって時間が合ったのが
この正月しかなくって
時間逆算の結果、
明け方5時から敢行しました。
ちなみに恋人は特に予定もないが
実家に帰らず自宅にて過ごすらしい。
眠そうにポワポワしながら
俺に手を振ってくれたの覚えてる。
「こんなクソ寒いのに寒い所行くの?」
「釣り行くあなたに言われたくない」
くすくす笑う蒼くんはもう
寝落ちそうなトロンとした目で
それはとても色っぽかった。
「参るわマジでー」
「ん?どうした?スガ?」
「あー、いや…何でもない!」
俺としてはね、
正月あの人が実家に帰ると見越して
このスキー旅行を敢行したわけで
いやもちろん友達と久々に
絶妙にうまく予定があったし
ここを逃すと暫くねーなって
思ったのが大部分だけど・・・
あの人が正月を一人で過ごすなんて
ちっとも思ってなかった。
家族でビンゴするんだろうと
勝手に思っていたんだ。
別にそのことであの人から
とやかく言われることも無かったが
(それもそれで寂しい)
一人で過ごすあの人を思うと
俺は一気に切なくなった。
かと言って、
旅行のような大きな約束を
反故にするわけにはいかないし
残念そうな素振りさえも
あの人は見せないものだから
どうすることもできない。
そうしてやってきた長野で俺は
時折あの人を思い出しては
勝手に切なくなっていたんだ…。
あの人が、
何をしているかも知らないで。
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