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帝都リブラルト
ノーディス隊宿舎
隊長室前
「遅いぞ」
サクアだ。
どうやらずっと待っていたようだ。
「……すいません」
サクアと共に、リブラルトの外れにある防衛ラインへと向かう。
そう言えば、防衛ラインの近くの高台に、あの秘密の花畑がある。
今は亡き兄とよく遊んだ、あの光の楽園が……。
「どうした?」
サクアが少し心配そうな顔をする。
相変わらず良く気付く奴だ。
サクアは上官に厳しく、部下に優しい。
「いえ。別に」
そっけない返事だが、サクアは優しく微笑んだ。
そこでまた私の記憶が蘇ってくる。
あの日……サクアは同じ顔で微笑んだ。
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