咎人の行方

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果てない雪原、ささやかな日の光を跳ね返すその鏡面を一人の男が、足元を掘り返しつつ歩いていた。 その男は大きな黒い外套を羽織っており、さながら影が歩いているようであった。その右腕だけが後ろへと伸び、鎖に連なった十二もの棺桶を引き摺っている。 彼が目指す山は、未だ遠い。太陽の光を背に浴びて、後光を四方へ伸ばすその山は、フレーゼ山と呼ばれている。凍りついた地面に拒まれた死者が葬られる、この地域唯一の山だ。 しかし、そこへ死者を連れていく者は、当然動ける者でなければならない。あの生きる者全てを拒む絶氷の砦に、幾つもの棺桶を引き摺って立ち向かわなければならないのだ。――この男のように。
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