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「じゃあ僕は、警部のところに行って詳しい情報貰ってくるよ」
トレンチコートを侯爵に着せて貰いながら、言葉が言う。
『警部……ああ、鵜崎[うさき]さんか。あの人なら詳しいやろうな。そんなら俺は、聞き込みやな』
「そういうのは番人の方が得意だからね」
『兄貴が苦手過ぎるだけやろ』
ばれたか、と小さく笑う。
当然だ、と俺も笑って返した。
「それじゃ、行ってきます」
侯爵を従え部屋を出る言葉を見送り、少し経った頃、漸く俺は妙な緊張から解放されることが出来た。
手は汗でぐっしょりと濡れている。
『実の兄弟なんやけどなぁ』
そう呟き自嘲気味に笑ってから、軽く深呼吸をした。
よし、やるか。
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