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警視庁刑事部捜査一課に、鵜崎環為(うさきかんな)という男がいる。
階級は警部。
それなりに幾つもの事件解決には関わってはいるが、あくまで捜査一課としての仕事であり、目立った活躍をしている訳ではない。
容姿は、良くも悪くも「平凡」。
どこにでも居るような、中肉中背の眼鏡の男である。癖毛の為にぼさついた髪型と無精ヒゲがだらしない、うだつが上がらない中年サラリーマンといった容貌である。
しかし、ある一点において刑事部の中では非常に優れた能力を持っており、その能力のお陰でノンキャリアでは困難とされる警部への出世が出来たと言っても過言ではない。
その能力とは、彼には一切の「嘘」が通じないということ。
彼は超能力などが使えるわけではない。ただ、「絶対的直感」によって真実と嘘を嗅ぎ分けることが可能なのだ。例え冗談のような些細な嘘であっても、確実に分かってしまう。
その「嘘」から論理的にその裏の真実を導き出せるだけの思考能力が備わっていることも、彼の『力』である。
だが、そんな彼でも苦手とする相手はいるのだった――
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