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私は一人だ。
孤独で、寂しく、誰からも嫌われているに違いない。
私はこの世界のなかで誰とも同調できず、最後まで一人きりで死んでいくのだろう。
そういう運命なのだと思わなければ、今の事態を信じることができない。
私はこれからどのように生きていけばいいのか全くわからない。
私はこれからどうなってしまうのだろう。──
彼女の名前は厚木恵子(あつぎめぐこ)。
本年中学三年生となる。
彼女は3人家族で暮らしていて、都内にある公立中学に通う、ごく普通の少女である。
ある日彼女が一年生時に入部したテニス部で、一人の男子生徒とダブルスの練習をしていた。
彼の名前は川岸孝之(かわぎしたかゆき)
言うまでもなくこのふたりは恋に落ちた。
付き合い始めるのも早く、ダブルスの練習をし始めた三日後にはデートを始めていたくらいだ。
川岸は都内で屈指のテニスプレイヤーとして活躍していて、勉強もクラス内では常に上位を保っていた。
かといって高慢な態度に出るようなこともなく、誰とでも親しげに話せて、まさに好青年であり、学校のアイドルとして有名であった。
そんな彼と付き合えるということだけで恵子は夢のような嬉しさで一杯であった。
お似合いカップルとしてクラスでも言われていた二人は、この恋が永遠に続くものだと思っていた。
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