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目がチカチカする。
「いてぇ…何だよ…」
ロイが呟いたのが聞こえた。
目を擦ると次第に周りが見え始める。
目の前の光景に呆然とした。
「……ここ、どこだ?」
さっきまでいたじいちゃんちのリビングじゃない。
どこまでも続く広い草原。
目の前にあまりに不自然に建つ人の気配がない家。
草原から突き出たデカい岩。
恐らくこの家の持ち主のものだろう小さな池。
ただ、見覚えがないわけじゃない。
ここって―――。
僕の目の前で座り込んだまま唖然と家を見上げいるティルダに声を掛けた。
「ティルダ、大丈夫?」
「…うん。何とか。…それにしてもどうなったの?」
僕が差し出した手を握って立ち上がりティルダは長い髪をかきあげた。
キョロキョロと周りを見渡していたロイが近寄ってくる。
そしていつものように口を開いた。
「さっぱりわかんねえな。映画の中に引きずり込まれたとしか思えねえよ」
そう。
僕等は何かによって昼間に拾った映画の中に引きずり込まれたんだ――。
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