一学期

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彼が初めて 私に気付いてくれたのは 入学式からちょうど1ヶ月頃である。 私はいつもの通り 放課後に一人で作業している彼を見ていた。 すると 彼が私にほんのわずかな、聞こえるか聞こえないかギリギリな声で、ボソッと言ったのだ…。 「君、名前は?」 私はそれを聞いて驚いた。 「私のこと…気付いてたの!?」 彼は返事をせず作業を続けた…、そしてしばらくしてから 「気付いてたよ…。」 とさっきより少し大きな声で言ったのだ。 私は嬉しくなり 彼の近に動いた。 いつも教室の隅で見ていただけの彼が、今こんなにも近くにいることが嬉しかった。
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