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東棟の二階に到着し、北側にある教室に入った私と翔太は、ドアを閉めてフウッと吐息を漏らす。
六人で調べれば、単純計算で1.5倍の速度で「カラダ探し」が調べ終わる事が出来るというのに。
「じゃ、じゃあ、この部屋からも調べようか」
繋いでいた手を慌てて放し、照れたように教室の後ろの方に歩いて行く翔太。
「うん、私は前の方から調べるね」
手を引いたのは翔太なのに、どうして照れているんだろう?
良く分からないけれど、伊勢じゃなくても、頼りになるように思えて、私は少し安心した。
教卓を調べて、机の中を一つずつ覗いて行く。
「そういえばさ、カラダってどんな風に分けられてるの?翔太は知ってる?」
「分からないなぁ。どうして高広に記憶があって、俺にはないんだ……俺が覚えている方が、ずっと役に立つのに」
ブツブツと呟くその姿は、まるで私自身を見ているように思えた。
端から見たら、私もこんな風に見られてるのかな?
あまり良い癖じゃないと、翔太の姿を見て考えさせられた。
そうして、机の中を調べ終わった時、校内放送が流れたのだ。
『「赤い人」が、西棟三階に現れました。皆さん気を付けてください』
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