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「おい、相島!!明日香を見なかったか!?」 誰もいなくなった教室で、窓の外を見ていた私に、そう声を掛けたのは伊勢高広。 クラスの中でも乱暴者の部類に入っている……はずだったけど、なんだか最近は少し丸くなったように感じる。 それでも、私が苦手なタイプの人には変わりなかった。 急に声を掛けられて、ビクッと身体が反応したのは、そのせいだと思う。 「明日香って誰?私の知ってる人?」 「あー、くそっ!訊いても分かるわけねぇよな」 私の言葉に、頭を掻きながら、そう言って教室を飛び出した。 全く、いきなり教室に入って来たと思ったら、すぐに出て行って。 騒がしいのは嫌いだ。 人と仲良くするのもあまり好きじゃない。 どうせ人は私の事なんて、そこら辺にある石ころと同じと思っているんだろうから。 こうして、一人でボーッと空を眺めている方が、誰と一緒にいるより楽しい。 でも……いつ以来だろう? 誰かが私に声を掛けるなんて。 少し嬉しかったけれど、私を頼っていたわけじゃないから、どうでも良い事なんだけど。 そんな事考えていると……。 「相島ぁ!言うの忘れてたぜ!もしも、『赤い人』を見たら、校門を出るまで絶対に振り返るんじゃねぇぞ!」 また伊勢が戻って来た。
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