30645人が本棚に入れています
本棚に追加
なんで、こんな所に小学生がいるの?
それに、なんだか様子がおかしい。
薄暗い廊下の奥から、窓がある明るい場所まで歩を進めた少女を見て……私の心臓が、ドクンと音を立てたのが分かった。
頭の上から足の先まで真っ赤に染まったその姿は……もしかして、「赤い人」?
見ただけでそうだと分かる、異様な雰囲気。
まるで、その少女から、私を引き寄せようとする手が迫って来ているような、不気味なものを感じる。
ど、どうしよう!
噂話じゃなかったの!?
それとも、誰かのイタズラ?
いや、イタズラだとしたら、誰もいないかもしれない廊下を、あんな女の子を歩かせるはずがない。
今まで見た事なんてなかったのに、なんで伊勢が「赤い人」の話をした日に現れるの!?
もしもあれが、本当に「赤い人」だとすると……私は振り返らずに校門を出なければならない。
少女は、こっちに向かって歩いて来てはいるけれど、私に襲い掛かって来るような様子はない。
慌てて階段を駆け下り、踊り場に着いた時だった。
「あー、相島。相島美雪、まだ残ってたのか。丁度良かった、少し手伝ってほしい事があるんだが」
背後から掛けられた声に、私は踊り場で立ち止まった。この声は、担任の南田先生?
よりにもよって、振り返ってはならない時に声を掛けられるなんて。
どうするべきか……私は悩んだ。
最初のコメントを投稿しよう!