出会いと誕生

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そうして出会ったのが私の母、橋口きよ子と父、雨守いつむ。母は父の話を聞き、よく考えた末、雨守へ嫁入りしたのだ。 嫁入りして第一子、雨守悟、第二子、雨守純、第三子、雨守輝明と私の兄達を産んでいった。 他の息子達にもお嫁さんは来たがなかなか女の子に恵まれないみたいだった。 そんななか待望の女の子、私が生まれた。 命名、雨守ミズナ、水が無くなる事のない様にと願いが込められた名前だ。 私が生まれてからは他の息子達にも女の子が生まれてきた。 雨守ハツネ、スミレ、ミツキ、ハルナ、私を含め5人だけ。 私は母からも父からも小さい頃からずっと聞かされてきた話がある。雨守族には代々、姫と言う訳を受け継ぐ雨降らしがある。 ミズナも大きくなったら『姫』になるかもしれないからよく考えて毎日を過ごすのよと言われ続けてきた。 小さい頃はよく考えて毎日を過ごすということが分からなかった。 でも、おばあちゃんを見てきて分かった。 水が必要な時は寝たくなくても寝ないといけない。そんな時にはアマモリ茎をかじらないといけない事。 この森にはアマモリ茎、花がある。茎はすぐに寝かしてくれる作用がある。逆に花は睡魔を消してくれる。 自分の気持ちにはお構いなしに持って来られる茎と花なのにおばあちゃんは文句も言わず、かじっていた。そんなおばあちゃんを見て少し悲しい気持ちにいつもなっていた。
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