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アマモリの森
いつもと変わらない毎日を過ごしていた。おばあちゃんの所に行っては他愛ない話をしていた。
最近は体調が悪く行くと、いつも横になっていた。でも眠ることは出来ないからアマモリ花をかじっているのをみた。
私が行くと起きてくれて相手をしてくれていた。
とても優しいおばあちゃん。いつか私が大人になった時は人の事も考えられるおばあちゃんの様な人になりたいな。
毎日の日課はアマモリ茎と花を摘む事。いつも通り茎と花を摘んでいると、父と母が森に慌ててきた。「おばあちゃんがおばあちゃんが危篤なのよ」
「そんな嘘だ。」私は信じられないとおばあちゃんの所に急いだ。
周りにはたくさんの親戚がいた。親戚でおばあちゃんが見えない私はおばあちゃんに会いたい一心で親戚をかきわけおばあちゃんのベットへついた。眠っている様にも見えたけど私は慌てて「おばあちゃん、おばあちゃん」呼びかけながら体をゆらしてしまった。すると、ゆっくりと目を開けて「ミズナは一番、甘えん坊さんだね。大丈夫だよ。少し眠いだけだよ。みんなも集まってどうしたんだい。おばあちゃんは大丈夫だよ。これからも雨を降らすからおやすみ。」いつもの優しい口調でそう言うと笑顔でスーッと目を閉じていった。
いつもならこの後パラパラと雨が降りだすのに今日は降ってこない。
「おばあちゃん」私は泣き叫んでしまった。
周りの親戚達も泣いている。
誰しもがこんな最後とは思いもしない。
これは夢、嘘だよね。
真実とは思いたくないが雨は降らない。
現実を受け止めれない。「おばあちゃん」と触ると全然温かい。
「おばあちゃん冗談はやめてよ」そう言って、ゆらすが起きてこない。
本当に亡くなってしまったの。涙が止まらない。
そんな時、誰かが言った。
「いつまでも泣いて、いられない。みな悲しいが悲しんでいたら、おばあちゃんも安心して逝けないだろう。葬儀の準備を各々分担していくぞ。」
私は出来ない、まだ別れるなんて。
でも雨守には亡くなったら、すぐに葬儀し森の中心部に埋葬する掟がある。
動けずにいる私にハルナの母さんが「ミズナちゃんそんなに離れたくないのなら葬儀の準備が終わるまでだったら、おばあちゃんの傍にいても良いわよ」私は納得いかないけどおばあちゃんの為を思ったら「分かりました」と返事をしていた。
みんなが出ていった。
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