―タイムリミット―

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赤く染まった部屋の真ん中で倒れた娘を、モニター越しにじっと見ていた。 最後に動いた娘の口は『ありがとう』と言っていた。 「………ッ!」 憎かった 憎かった 大切なものを奪っていった娘が、殺してしまいたいほどに憎かった。 「…クッ……ウッ」 愛していた 愛していた 大切なものが残していった娘を、全てと引き換えにしても構わないぐらい愛していた。 相対する二つの感情は、どちらも嘘なんかじゃなかった。 どうすることも出来なかった。 どうすることもしなかった。 見たこともない光に包まれてだんだん薄れていく娘の姿に『生きろ』と言ったのは、自分のエゴだった。 優しい言葉をかけてやれなくてごめん。 守ってやれなくてごめん。 苦しませて、大切なモノを奪ってごめん。 でも、それでも 「じゃあな……。」 愛してた。
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