ー色ー

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カシャン…… 何時もの浅い眠りは、小さな金属音に邪魔されて目が覚めた。 寝起きで重い身体を起こしながら辺りを見渡しても、 異変は何処にも無いからさっきの音は気のせいだったのだろう。 (あの夢、久しぶりだった…) 顔に落ちてくる長い髪を雑に払いながら、ボンヤリとさっきの夢を思い出す。 あれは、幼い頃に大切だった人と交わした約束の夢。 何時か一緒に空を見ようと、指切りげんまんをして、約束をした時の。 その約束はもう何年も前に交わしたもので。 思い出したのは、久しぶりだった。 覚えている意味が無くなっていたから。 あの日交わした約束は、もう二度と果たせなくなった。 指切りげんまんをしたのに。 約束を交わした人が、いなくなってしまったから。 会うことも 話すことも 出来ない。 手の届かない 声の届かない 遠い遠い場所にいってしまった人。 自分に、優しく接してくれた人。
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