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鬼のような形相で一喝した。
しゃがれ声が教室に響き渡る。
壇上に立つ豪徳寺は街中で見かければ誰もが道を譲ってしまうような風貌だ。
赤と黒の柄のシャツにスラックス、刈り込まれた短髪に真っ黒なサングラス。
金の鎖のようなネックレスが蛍光灯の光を受けて輝きを放つ。
どこからどう見ても組員とか構成員とか呼ばれる人種だが、これでも予備校の講師だ。
威嚇するように教室を見回すと、20歳にも満たない受講生は当然萎縮した。
震えあがった。
予備校で味わう突然の理不尽。
その表情を確認すると、豪徳寺の表情がフッと寂しげに変わった。
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