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二軒目に入った行きつけのバーは、食事をしたイタリア料理の店よりはずっと敷居が低くかった。
仕事帰りのスーツ姿の若いカップルや出張中のアメリカ人で賑わっていた。
全て豪徳寺の計算通りであり、いつも通りだ。
静かで落ち着いた高級店ばかりが大人の世界ではない。
二十歳にも満たない女はこういう店のほうが警戒心を解きやすいことを豪徳寺は経験の中で熟知している。
少しだけ、背伸びをさせるのだ。
会話の音や食器が重なり合う音とBGMのゆったりとしたピアノの音が混ざり心地良い空気が漂っていた。
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