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少女が向かっている先には
青になったばかりの横断歩道
しかし少女を待ってましたと
言わんばかりに青だった信号機は
急に赤に変わる
キキィイイイーッ!!!!
バッと通ったトラックが
俺の目の前で無惨に少女を轢きずっていく『えっ…?』
あまりに一瞬のこと
さっきまで君の体を
巡っていただろう真っ赤な血液が
今じゃあ鮮やかな
血飛沫となって
道路と俺を染めていく…
近くで感じていた君の香りと
血飛沫の匂いが混じり合って
『うっ…ぐ』俺はむせ返る
目の前の光景が信じられなくて
『嘘だろ…』
無意識に呟いた瞬間
世界はとまったように周りの音は聞こえなくなった―――――。
「嘘じゃないぞ。」
『っ!?』バッ!!!!
声のした方を振り向いた
そこには…『……お…俺?』
俺にそっくりな…
「お前じゃない僕は…陽炎だ。
フフッ忘れちゃったのかい?」
陽炎と名乗る男が
嗤いながら近づいてくる…。
忘れたって何をだ…?
俺はこんな奴…
『何言って…うっ…』
その瞬間耳から脳に駆けて
かき回すような蝉の音に
目の前の光景が全て眩んだ―――
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