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「預けられるのが、どこの誰かも分からない人の所より、頼りになる佳孝さんの所で安心してます」
「……っ、すまない」
雅孝は、顔を歪めながら、零歌といつの間にか眠ってしまった赤ん坊に、謝るしかなかった。
「きっとこの子も、いつか、わかってくれます」
微笑みながらも、零歌の瞳には涙が浮かんでいる。
雅孝は無力な己を、これほど恨めしく思ったことは、今までになかった。
だが、せっかく愛しい妻が涙を堪えてまで、前向きに考えているのだ。
自分がしっかりしなくては……。
「ああ……そうだな」
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