プロローグ

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夜の都市。 高いところから見下ろせば、細かな光がシャンデリアのように彼を照らしていただろう。 だが、彼は都会の隅に近い林の中にいた。 1本の木の枝に座り、足をぶらぶらさせながら飴を舐めている。 「ここにもいない・・・か」 彼はそう呟き枝から飛び降りると、飴をくわえたまま明るい街中に向かって歩き出した。 辿り着いた先には、流石都会というべきか、高いビルがそびえ立っていた。 彼はそれを見上げる事なくとあるビルに入って行き、慣れた手つきでエレベーターで最上階にのぼっていく。 彼はエレベーターの中で、壁に背を預けながら新しい飴を取り出すと、口に含んだ。 そして最上階に着き、古い方の飴が付いていた棒をごみ箱へと投げた。 彼はここの・・・いや、この組織の最高責任者の部屋に向かって歩いている。 灰色のTシャツに黒いジャケットとジーパン。それが彼の通常スタイル。髪は黒く長く、後ろに低い位置で縛っている。
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