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「アヴェーラ、あんたの秘書どうにかしろよ。入るたびにこれじゃ辛い。」
「私的には、入るたびにノックしない方が嫌よ?」
アヴェーラは大きな机に頬杖をつくと、机を指先で3回叩いた。
すると、秘書のリアがアヴェーラの隣に移動した。
アヴェーラは翡翠色の瞳をした、長い金髪の女性。妖艶に弧を描く口から、言葉が放たれる。
「リア、気をつけ」
「す、すみません」
先程とは打って変わって静かになるリアにため息をつくと、シャルは小首を傾げる。
「ノックってもんは敬意払うみたいなもんじゃん。敬意、俺ないし。」
シャルは軽く言い捨てると、アヴェーラの机に片手をつく。
「調査はした、いなかったけどな。もうメイデンの中にはいねぇかも。」
アヴェーラはその言葉にため息を吐くと、置いてあった紙束をめくり始めた。
「そうね、メイデン内の不審な箇所はもう調査済みだし。そもそも貴方が悪いのよ?あの子、血の臭いには敏感で、すぐ臭いのある方に行っちゃうんだから。」
「だってあいつが目ぇ離した隙にいなくなってたんだもん。」
シャルは頭を抱えながらしゃがみ込んだ。
暗い雰囲気が出ていたが、何か思い付いたように立ち上がった。
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