蜃気楼

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夜の桜吹雪の下 果たされるかすら 解らぬ 約束を交わした… 桜の下でまた会おう あれから どれ程の貴方達のいない 時が流れただろうか… 貴方達が「生きろ」と言うから 足掻いて生きてきた 相変わらず 桜は咲き乱れ その下で宴をする者の声 あの時と変わらない景色 そこに貴方達が 居ない事を 除いたら… 叶うならもう一度だけ… ほんの僅かでも良い 貴方に会いたい 叶わないのに望んでしまう 望んではいけない愚かな願い また年月は流れ 私は 貴方の魂にまた会った ひたすらに私達を貴方は呼ぶ 小さな赤子の君 今や 健やかに強く育ち 人々を導かん存在に 私は最も浅はかで 最も卑屈な愚者です 育ちいく 君に 出会った彼等に 以前の器を重ね見るのだから…
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