儚キ白ノ粒《Friend》

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午後10時30分。 俺はベッドに転び、タバコの煙を吐き出しつつテレビを眺めている。 「寒冷前線が近付いており。 今夜半から各地で大雪の恐れがあり、路面凍結に要注意です」 若い女子アナウンサーの服装もかなりな防寒仕様である。 今帰宅して1時間弱であるが、帰り際にちらほらと雪の粒が車のフロントガラスに張り付いていたので、俺は天気予報を見て何と無く窓を開けてみた。 隣家の明かりに照らされながら、真っ暗な空から、白い雪の粒が舞い降りている。 時折り走る車の音が聞こえる位で、後は静かな静寂に包まれているが、降りしきる雪の音が聞こえるかの様に無数に雪は降っていて、俺は暫しその光景を眺めていた。 「I've been Mistreated・・・」 テーブルに置いていた携帯から、ブルージーでディープなデヴィッド・カヴァーデイルの歌声が流れメールの着信を告げる。 「誰からだ?」 俺は窓を閉めテーブルの上の携帯を手に取り画面を開いた。 「to 三島遥 sub 辛いよ・・・」 差出人は女友達の遥からで、その題名に驚いた俺は、そそくさとメールの内容を確認した。 「夜遅くにゴメンね😢 今日・・・ 彼氏とちゃんと別れて来たよ。 やっぱ智哉の言う通りに、妻子持ちの男は辛いだけだったよ。 別れる時も、その彼氏に目茶苦茶言われちゃったけど・・・ 自業自得だよね? ていうか 別れてすぐに智哉にメール送る私も最低なのかもだけど・・・ 一応報告しておくね」 いつもは絵文字・顔文字満載の文章も、今は遥の辛さを表すかのようだ。
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