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駐車場はすぐそこなので、俺は傘もささずに車へ向かう。
空を舞い踊る様に降りしきる白い雪は、俺の体に触れても一瞬で溶けて行く。
かつて・・・
俺も家庭がある女性と、一時期付き合っていたが。
唇を重ね、肌をすり合わせる程に互いに割り切れ無い感情が沸き起こり、その関係は終わりに向かい加速する。
そして終わる事が最良の選択であるのが、家庭を持つ人との恋なのだろう。
儚い一瞬の宴。
降りしきる雪の様な恋。
遥も今そういった事の最中であり。
それを乗り越え様とする遥の力になれるのなら、俺の終わって久しい恋も意味があったのだろう。
降りしきる雪の中、そんな追想を行いながら、あっという間に車へと辿り着いた。
俺はドアロックを解除し、運転席へ座りエンジンを始動させた。
狂った様なスピードの不協和音の塊の様な音楽が車内に流れる。
「しょーも無いジョークで笑わせたるから、もちっと待ってな?」
俺は胸で呟くとサイドブレーキを解除して、遥の家へとアクセルを踏み込んだ。
儚キ白ノ粒
Fin
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