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「ねぇ?
福森美紗ってウザい事無い?」
久々に冬の空に晴れ間が広がり、柔らかな日差しを浴び、光合成の真っ最中な貴重な昼休みをBreakしたのは。
同じ職場の井坂・・・
下の名前って何だったっけ?
ともかく。
この井坂某と言う女は、クソ寒いってのにミニスカで、ストッキングもレギンス無しの生足晒しながら、過激な香水の匂いを漂わせながら、俺やツレが寝っ転がるベンチへ座りながら尋ねて来た。
「あぁッ?
んな事はねえよ?
よく働くいい子だと思うがな」
俺は井坂某を見る事も無く、淡々と告げた。
「何かって言うと、栗山君にべったりじゃん。
私は現場じゃ無いけど事務員の間では評判悪いんだよ?」
井坂某は寝っ転がる俺に見せつけるかの様に、シャツのボタンをがっつり開けた胸元を近付けている。
三十半ばで色気はあると思うし、フルメイクしたツラとクルクル巻かれた髪は、見ようによっては美人になるのだろう。
事実。
部長も専務も後輩の隆も、この井坂某に夢中だというし、軽いセクハラを笑って許す度量は尊敬に値するが。
俺はこの井坂某に興味は更々無い。
「まだ福森さんは会社入ったばかりだから、しゃあ無いやんな?
そんなに気になるなら井坂も現場に来ればいい」
俺はタバコの煙をプカプカ吐き出しながら井坂に告げる。
「おう。
現場に来たら、井坂ちゃんに手取り足取り俺が教えてやるぜ?
120分フルコースでな」
それまで携帯のサイトでどっかの女とやり取りしてたツレの小林良太が、ドスの効いた声とブルドックみたいなツラにニヤリと笑みを浮かべ井坂某に告げた。
「え・・・遠慮しときます。
じゃ私行くね・・・」
引き攣った笑いを浮かべながら井坂某は、尻を振り振り事務所へと戻って行った。
「良太。助かったわ・・・
困った時の番犬みたいだな」
「おまッ・・・
助けてやったのにその言い草は何?
ヘルス奢らせるぞ?」
ガタイも良く恐面の良太は、流石に井坂某も苦手らしいが、それでも引き攣った笑みを返す所は、社内人気ランキング一位を目論む必須事項なのだろう。
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