5人が本棚に入れています
本棚に追加
「ハハハ。
良太はツラは極悪だけど、中身はイイ奴だからな。
ただ、仲良くなったらセクハラに注意が必要だけど」
俺が美紗に告げると良太は携帯から目を離し慌てて首を振った。
「嘘だぞッ。
この馬鹿の言う事はまともに聞かない方がいいぞー。
つか、仕事を教えるとか言って変な事されてねぇか?」
「今のところは・・・大丈夫です」
美紗はニヤリと笑みをうかべながら答えた。
「ちょッ・・・
今も未来もありえないぞ?
んな事言うなら・・・福森さん。
昼からの仕事量を増やすぜ?」
俺は思わぬ美紗のツッコミに軽く慌てたが、この三人のやり取りが美紗の仕事の緊張感を解すのならば良い事だと思えた。
「栗山さん。
それってパワハラじゃ無いですか?」
「そそ。
パワハラ野郎はセクハラ野郎にいつ変身するか解ら無いから、やっぱり気をつけなきゃだぞ?」
二人がニヤニヤしながら俺に告げる中、先程事務所に去った筈の井坂某が再び現れた。
井坂某はここに美紗が居るのが気に食わないかの様に、いつもの媚びを売る感じでは無く冷たい瞳で美紗を一瞥した後、俺に声を掛けた。
「栗山君。
部長が呼んでるよ」
そう告げると俺の腕を抱えて事務所へ連れて行こうとする。
「解った。
つか。ちょいと行ってくるわ」
俺はやんわりと井坂某の腕をすり抜け、良太と美紗に挨拶すると事務所へと向かった。
「栗山さん。
あの方と仲良しなんですかね?」
美紗がほんの少しだけ残念そうな表情を浮かべつつ良太に尋ね。
「いや。
少なくとも美紗ちゃんとの方が仲良しだと俺は思うぜ。
勿論俺もだが」
良太がニヤリとして答えた・・・
等というやり取りがあった事は俺が知る由も無かった。
最初のコメントを投稿しよう!