1人が本棚に入れています
本棚に追加
その時、僕は初めてチコの現状に気がついた。
チコはもうおばあちゃん、そして弱っているんだと。
その日から僕は正気に戻り、チコに八つ当たりしないことを約束し、そして毎日チコに“大好きだよ”と心を込めて喋りかけることを誓った。
それでもチコは日に日に老いていった。
僕が小学6年になると、チコは走らなくなり、一日の半分は寝て過ごすようになった。
中学1年になるとチコは身体中の毛がだんだん抜け、イボができ、皮がたるんでいった。
その時、チコの体にはいくつかのシコリ(ガン)ができ、心臓や肝臓なども肥大しもうほとんど歩かなくなった。
そして僕が中学2年の夏、チコは立てなくなり、いつも沢山食べていたご飯も全く食べなくなった。
僕はそれでも毎日、毎日チコを抱きしめ、“大好きだよ”と声をかけ続けた。
しかしチコがご飯を食べなくなってから3日目、その日、僕はチコに大好きだよと伝えてあげるのを忘れてしまった。
そしてその日、チコは天国へ行ってしまった…
僕はチコの最期を見届けてあげることが出来なかった。
僕は信じられなかった。そして後悔した。
何故僕はその日、チコに“大好きだよ”と伝えてあげることを忘れてしまったのだろうと…
最初のコメントを投稿しよう!