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「あ~頭いてぇ……」
俺はソファーの上から、けたたましく朝を告げる目覚まし時計に手を伸ばした。
「ちっ……もうこんな時間か……」
部屋の中には、煙草の煙と飲みかけのバーボンの匂いが充満している。
俺はアラームを止めてソファーから立ち上がると、汗とシワでグダグダに歪んだワイシャツを脱ぎ捨てた。
バスルームでシャワーを浴びてベタついた汗を流すと、二日酔いの頭もいくらかはマシになった。
バスタオルで水気をとるとパリッとノリのきいた赤いシャツに袖を通し、ブランド物の黒いネクタイをしめて、これまた高級なブランド物の黒いスーツを羽織る。
姿見にうつっている俺はなかなかの良い男だ。
いや、かなりと言っても過言は無いはずだ。
かけたてのパーマが更に良い男っぷりに磨きをかけている。
俺は黒いハットをかぶると玄関へと向かい、車のキーを掴んでドアを開けた。
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