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「く……やべぇ」
ついさっきまで何ともなかったのに、急にもよおしてきやがった……
しかも、これはかなりのビッグウェーブだ。
昨日の夜に酒のツマミに食った賞味期限を三ヶ月過ぎたチーズがまずかったか……
これはどこかでトイレを借りねば、とても持ちそうにない。
次々に冷や汗が出てくる。
少しでも気を抜けば、肉体的にも精神的にも致命傷を負いかねない。
確か次の信号を右に曲がればすぐにコンビニがあったはずだ。
信号を曲がれば楽園はすぐそこである。
俺は刺激を与えないように慎重にハンドルをきった。
しかし、目に飛び込んで来たのは『貸し店舗』の貼り紙。
「バカ野郎!! 勝手にツブれてんじゃ──つッ」
これは本格的にヤバイ……
リキんだら負ける。
自分的にも社会的にも。
何がコンビニエンスだ!!
だが、無い物はどうにもならない。
次の楽園を求めて愛車のビートルをひた走らせるしかないのだ。
「し……振動が……」
アンティーク車の醍醐味であるエンジンの振動が必要以上に俺のデルタゾーンを刺激しやがる。
慎重な運転で更に200mほど車を走らせる。
「見えた……」
コンビニの入り口が、まるで天竺の入り口であるかのようにすら見える。
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