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と……とにかく次こそは確実にあの扉の向こう側に行かねば!
トイレの一番近くに陣取り、ムダな力を入れないように神経を集中させる。
集中するんだ……
リラックスだリラックス。
心頭滅却すれば火もまた涼し。
いやいや!
ムリでしょコレ!
リラックスしたらユルんじゃうから!
心頭滅却どころか色々大切なモノ滅却しちまう!
ふと右側から視線を感じ、そちらをチラリと見るとさっきトイレから出てきた中年の女性が俺を見ている。
頭はまるで赤鬼のようにボンバーしていて腹には虎。
ファッションの意味が全く解らない。
威嚇<イカク>してるのか?
しかし、いくら心の広い俺でも今は譲れねぇ!
それにアンタさっき入ったばっかじゃねえか!
「……ん?」
どうやら赤鬼頭の女性は俺の目の前にある雑誌と俺を見比べているようだ。
雑誌に目をやると、綺麗なお姉さま方がアラレもない姿で表紙を飾った雑誌がきちんと並べられている。
いやいや!
違うんですよ!
アンタはカウンターでのやり取りを見てないかも知れないけどそうじゃないんですよ!
赤鬼は頬を赤らめてチラチラと俺を見てきやがる。
赤鬼虎ババア! 勝手に勘違いして頬赤らめてんじゃねぇ!
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