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事務所に到着した俺はドアを開けた瞬間に異変に気付いた。
何かがおかしい。
事務所の明かりがついていないが、バイトの女助手が寝坊して電気がついていない事などしょっちゅうだ。
だが、今日は何かが違う。
探偵の直感が俺に何かを訴えかけている。
慎重に電気のスイッチに手を伸ばす。
「ん?」
電気がつかない。
スイッチを何度カチカチやっても全くつく気配がないのだ。
なるほど……ブレーカーが落ちているせいで、電気製品から出ている音が一切しなかったのか。
ブレーカーのスイッチを上げに行くと『入』の表示。
「くそ……なんだってんだ……」
俺は訳が解らぬままデスクに腰掛けると、手元にある一枚の黄色い紙が目に止まった。
どうやら女助手からの置き手紙のようだ。
『今日はこの前できた新しい彼氏とデートなんでお休みしま~す! あ~それから電気代の振り込み用紙間違えて捨てちゃったみたいです。てへ♪』
「てへ♪ ……じゃねぇだろこのボンクラが!」
紙をデスクにピシャリと投げつけたつもりが、まるで馬鹿にするかのようにとんでもない所へとヒラヒラ飛んで行く。
「く……今日は厄日か!?」
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