264人が本棚に入れています
本棚に追加
席に到着した私は、お客の持っているおしぼりを回収。
凛香さんは何事もないように接客を続けていた。
咲羅さんが来た瞬間に、ソワール全体の空気が変わったのは体で感じる事ができた。
なんか有名人でも来たような感覚かな。
咲羅さんのお客は先に席に座る。
本人はドレスに着替えるためかキャストルームに入って行った。
「失礼します!ハルカさんでーす!」
―――――えっ?!
咲羅さんの席についたのはまさかのハルカ。
でもハルカは動じる事なく平然を装っている。
まだ咲羅さんが来てないからかな…
ハルカは何を話してるんだろ。
てか体入の女の子をNo.1の席に座らせるとか店長は何考えてんだろ。
「失礼します!つばささーん!」
そんな時、私は呼ばれてしまった。
「すみませーん♪ご馳走様でしたぁ!」
私は凛香さんのお客とあいさつを交わすと、ニコっと笑顔を作って席を立った。
どこに行けばいいかわからなかった私は、キッチンへ逃げる。
本当に…ソワールってすごい。
こんなの…私に戦えるわけない…
凄すぎてついてけないよ…
「私には無理だ。私にはついてけないって顔してるなつばさ。」
キッチンへ入った途端、後ろから声をかけられた。
この声は店長だろう。
腕を組んで入り口にもたれかかった体勢で、笑いながら私を見ている。
「そ…そんな事…ないです。」
とっさに出た言葉は、自分の思いとはまったく逆のセリフ。
「お前はバカか?」
最初のコメントを投稿しよう!