知られざる過去①

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私は書き物を済ませ、指定された部屋まで移動した。 自分の荷物を置いて、一段落。 ベッドとシャワーしかない狭い部屋。 消毒の臭いは、一層増した。 部屋の証明はすべて消されていて、シャワー室からの灯りだけ。 「私…私は……」 行き着くとこまで行き着いた私。 ついに風俗店で働いている。 働きたいと思う女性は限りなく少ないだろう。 そんな世界に私は今来てるんだ。 「辛いよ……やだよ…キツいよ。……怖いよ…怖いよ…」 私はベッドに座りこみ、下を向いて泣いていた。 一瞬の気の緩みからだった。 こんな感情持ってはいけない。 キツいなんて思っちゃいけない。 でも、ここに来て… 爆発した。 死にたかった。
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