知られざる過去①

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「真面目だなお前。」 ホストは私の格好を見て少しだけ戸惑っているのか、頭をかきながら私に近寄ってくる。 私は後退りしそうになる足をしっかりと止めた。 本当は逃げ出したい。 本当はしたくない… 「選択肢があったら、お前は今を続けるのと、神様の言葉に従うのはどっちがいい?」 へっ…? 今なんて言った…? 「選ぶのはお前だぞ。今を続けるか、神に従うか。」 ホストは本気で言ってる。 私を見て言ってくれてる。 もちろん、まだ信用したわけじゃない。 でも今の私には、そのホストの言葉が本当に神様からの御告げに聞こえたんだ。 安心…? そうなのかな… なにこの感情… なんだろう…なんでこんなにも嬉しい気持ちになるんだろう… 体の奥からあふれ出す熱いものはなんだろう… 止まらない。 どんどん視界が無くなってく。 「今は何も言わなくていいよ。逃げるぞ。今すぐ着替えろ。」 ホストはニコっと笑って私を見る。 頭を優しく撫でると、入り口の方を向いて腕を組んだ。 「うっ…うぅ…」 涙はまだ止まらない。 でも少しだけ、ほんの一瞬だけど私は…女になれた気がした。
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