知られざる過去①

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壊れそうな心を私は必死に耐えた。 思わずホストに駆けよった私は、もう止まらなかった。 「辛いよぉ!もうやだよぉ…!死にたいよぉ…!!」 私はホストの胸で泣いていた。 誰かに支えてほしい。 誰かに甘えたい。 今まで押し殺していた私の心。 詰まっていたものが取れたかのようにあふれ出す感情。 涙が止まらなかった。 「大丈夫だ。俺がついてるから。今は泣いてもいい時だ」 その言葉が嘘でもよかった。 本当に…心地よかった。 こんなに安心したのは、何年ぶりなんだろう。 さっき出会ったホストなのに。 この人はきっと信じてもいいんじゃないかなって思った。 わからないけど… 今は思う。 お母さんが出会わせてくれた、最初で最後の人間。
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