第一話

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「これで全員か?なんだ、少ねぇな」 「全員揃って6人ですからね。まあ今回の魔物はそうでもないみたいですし、いいんじゃないですかい?」  月の光が町を照らす夜。 澄んだ水の流れる川に架かる橋の上に、武装した6人の集団の姿があった。 「そうだな。今回の仕事の確認をしておくぞ」 「俺達の目的は魔物の討伐だ。で、その魔物はオーク。力はやばいが動きの遅い下級の魔物だ」 「つまりは雑魚モンスターって奴だな」 「違げぇねえ」  男たちは夜にもかかわらず、腹を抱えて下品に笑う。 彼等の今回の討伐目標であるオークは、男が言っていた通り下級の魔物だ。 十分に武装していれば、6人も必要がない位弱い。 「さて、そろそろ行くか。早い所終わらせて酒で…!?」 「うおっ!?」 「がはっ!」 「ん、おい!?どうした!?」  一瞬、何かが通り過ぎた。 その次の瞬間、男達3人は地面に倒れていた。 「何だ!?何が通ったんだ!?」 「わからねえ!だが、何か黒い塊のようなものが見えた気はした!」  残った3人は辺りを見回すも、黒い塊のようなものは発見できない。 まさか魔物が町に侵入しているのでは、と思ったその瞬間。 「よう、そんながっちり武装しちゃって、これからピクニックでも行くのかい?」  突如現れた黒いマントを羽織った謎の男。 顔は妙な仮面をしていて見えないものの、体つきと声からしてまだ若い事が伺える。 「あん、何だてめぇは?」 「餓鬼はもう寝る時間だ、とっとと帰りな!」 「そうだ、とっとと消えな!」  男たちはまさかこんな少年が仲間をやったとは思わなかった為、全く警戒せずに少年に近づく。 しかし、その行動が間違いだった事に気が付くのは、目が覚めた次の日の朝であった。 「ったく…いい年したおっさんが3人も餓鬼にやられておいてよく言うぜ」 「え?」 「ま、いいや。俺も眠いんでとっとと用事を済ますとしますかね」  少年は独り言のように呟くと、腰から剣を鞘ごと抜き取る。 「この餓鬼!やろうってのか!」 「あんまり大人を舐めるんじゃねぇぞ!」  男達も応戦すべく腰や背中からそれぞれ得物を取り出すが、既に少年は戦闘態勢。 咄嗟に武器を構え応戦できる程の腕は彼等にはなかった。 「大人が子供を舐めるのもどうかとは思うんだがね」
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