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少年は鞘の先端を男の腹に思いきり突き立て、もう一人の男の顔を肘で打つ。
男二人は意識を失い、その場に倒れる。
「てめぇ!よくも!」
「おっと」
一人残った男は先程背中から抜き取った大剣を少年目掛けて縦に振るが、少年はそれを横に移動し難なくかわす。
「そんな大振りじゃ当たらないよ。っつーか子供相手でも容赦なしかよ」
「うるせぇ!甘えたこと言ってんじゃねえ!」
男は更に大剣を振り回す。
狙いを定めているわけでもなく、ただ振り回しているだけなので当然かわされてしまう。
「そりゃごもっともだわな。戦いに女子供も関係ないしな」
「わかってるじゃねぇか。おら、とっとと死にな!」
男が剣を振りかぶろうと構えた瞬間、少年が動いた。
鞘を男の腹に突き立て、そのまま男を蹴り飛ばす。
「ぐおっ!?」
男が地面に倒れるのと同時に、少年は男の腹を足で踏みつける。
そのまま鞘から剣を抜き、男の顔の横に剣を突き立てる。
「おっさんも素人ってわけじゃなさそうだし、覚悟は出来てるんだろう?」
「ひ、ひいぃ…」
「大丈夫だよ、すぐ楽にしてやるから」
「や、やめてくれ…」
突き刺した剣を抜き取ると、男の顔目掛けて剣を突く。
「う、うわああああああぁぁぁぁ!」
剣は男の顔の寸前で止まった。
男は失禁し、叫び声をあげると意識を失った。
「全く、でけぇ声出しやがって…。これじゃいつ人が来てもおかしくねぇな」
少年は剣を鞘に納めると、自分が気絶させた男達を見る。
最後の男相手には少々やり過ぎた気もするが、結果として気絶させたのだから問題はなかった。
「さて、誰か来る前に帰りますかね。目的も果たしたし、明日は朝早いし、な」
既に月が町を照らしだしてから、相当な時間が立っている。
速い所帰宅し、眠らなければ明日の朝間違いなく起きられない。
少年はその場を立ち去りながら、誰に言うわけでもなく、呟く。
「学園ねぇ…。面倒なだけなんだけど、今まで行ってなかったしな。まあ、仕方ないか…レイさんの言うことだし」
そう、明日は学園の入学式。
少年もまた、学園に入学する生徒の一人だった。
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