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午前7時50分。 朝晩はだいぶ冷えるようになったこの頃。 先週買ったばかりのタータンチェックのマフラーをはじめて巻いてみた。 「なな、おっはよー。」 駅前の自販機の前、元気に肩をポン!と叩かれる。 私と親友の立花純(たちばなじゅん)の毎朝の待ち合わせ場所。 「おはよう、純。」 「そのマフラー、この間買ったやつだね。かわいい。似合ってる!」 「ありがと。」 二人で肩を並べて改札口へ歩きはじめる。 毎日変わらない朝の風景。 だけど、 改札口に向かう途中、昨日の出来事が頭を霞める。 改札口を出てすぐに見知らぬ女の子から声を掛けられた事。 あの柱の影から慌てて出てきた彼の事…。 純がいつものように、昨夜のテレビドラマについて話しはじめた。 「ねぇ、なな。ちょっと聞いてる?なんかあったの?」 いつもと違う様子に気付いたのか、純が私の顔を覗きこんだ。
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