百物語

1/9
前へ
/9ページ
次へ

百物語

「これは私の祖母から聞いた話でございます。祖母から聞いたとは言え、祖母も幼い頃に祖父から聞いたと言いますから 随分と昔の話なんでございましょう。今のご時世では百物語をしようと思いたっても、雨戸を閉め切りでもしない限りは真っ暗闇なんて物は存在しなくなりましたが、当時は日が落ちるだけで簡単に真っ暗闇が存在したんでしょうねぇ とは言え、この頃はちょっとした遠出も大変だったようでございます。今でしたら、車でサッと行ける距離でも徒歩で何時間も歩いたり…… あぁ。雪が降って参りましたね。吹雪いていなさるのか、氷の礫が雨戸を叩いております。 私のお話も、ちょうどこのような雪の日の話になります」
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7人が本棚に入れています
本棚に追加