4人が本棚に入れています
本棚に追加
春の匂いと共に暖かい風が頬を撫でる。
気持ち良さそうに目を細めながらゆっくりと学校へと向かうのだが…。
「あれ?ちょっと待って。この道で良かったよね?」
あたしは辺りを見渡すが同じ制服を着ている人なんて見当たらない。
寧ろこんな道を通った事があったか?と。
家から近いはずの学校。早速道に迷ってしまった。
「まじか~。このままじゃ遅刻なんだけど…。あー…本当にあたしバカだ。」
確か桜並木を通って学校に辿り着くはず。
だが桜並木などどこにある!全く見当たらない。てか、何もない。道路しかない。
仕方なく適当に進んで行くがますます知らない道へと出てしまった。
「いやーどうしよう。」
困ったあたしは道の脇に止めてあった原付バイクに寄りかかりカバンから携帯を取り出して。
携帯を取り出したのは良いが誰に電話を掛ければいいのか分からない。
中学の同級生で同じ高校に行く子がいない為友達にも連絡できない。
学校に電話すればいいのかと思い携帯を開いたら
「おい。」
頭上から低い声が降ってきた。あたしは驚いて顔を上げる。
.
最初のコメントを投稿しよう!