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…かっこよすぎる。
初めてちゃんと顔を見れたあたしは本当に驚いていた。きっと今の表情はひどいに違いない。
ムラ一つない金色に輝く髪の毛は無造作に立たせていて。
整えられた眉毛に切れ長なのに二重の目。
鼻筋が通った綺麗な鼻。
シュッとした輪郭に小さな顔。
あたしより遥かに高い身長。きっと8等身はあるだろう。
着崩された制服がとても似合っていて思わずお礼を言うのも忘れて見とれてしまった。
「んだよ…。」
そんなあたしに対して不機嫌な表情を浮かべながら近付いてくる男。
「あ、いや、送ってくれてありがとうございます。」
慌ててお礼を言ったのにも関わらず男はあたしの目の前に。
そして何をするのか、何をされるのか手があたしの方に伸びてくる。あたしは驚いて目を瞑った。
「ついてる。桜。」
「…え?」
目を開けると男の顔が至近距離にある。あたしの顔は真っ赤に違いない。きっとチークの色より赤いはず。
何も言えずにいたら男は顔を離し取ってくれた花弁を"ほら"と言って落とした。
そんなに顔を近付けなくても良かったんじゃないかと思いながらもあたしの心臓は急速に早くなっている。
「顔、真っ赤だそ。熱でもあんのか?」
男はあたしを見て笑いながらまたバカにしはじめた。
「俺、佐々木 龍司(ササキ リュウジ)。よろしくな。龍司でいいから。」
…龍司か。
名前まで
かっこいいなんて
完璧すぎる。
「あたしは城崎ゆりあ(シロサキ ユリア)です。今日は本当にありがとうございました!」
あたしは小さく頭を下げてもう一度お礼を言った。すると学校のチャイムが鳴り響いた。入学式早々遅刻確定の合図。
その音に気付いた龍司はバイクに跨がり手をヒラヒラさせながら
「んじゃ、行くわ。またな。ゆりあ。」
エンジンをかけてあたしの前から去っていった。
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